1年の終わりに相応しい過ごし方と言えば、もうこのフェスに来ること以外に考えられない。個人的には2007年から数えて今年で連続11年目のCDJである。もはや忘年会だと酒飲むことでは刺激が足りない。四日間(昨年から急に全日参加が絶対になってきた)音楽にまみれ、暴れる。多少の体力不足と凄まじい疲労感を感じながらも、怒涛のように突き抜けたCDJ1718のライヴレポートをお送りしたい。
2017/12/28
●KEYTALK
今やロックフェスの顔と言っても過言ではなくなった由縁が分かるステージだった。「桜花爛漫」や「Love me」など比較的、新しい楽曲で会場の温度を上げながらも「fiction escape」や「MABOROSHI SUMMER」など往年の人気曲も4万人を動員するEARTHステージでしっかりと見せ、その直後に新曲「ロトカ・ヴォルテラ」を直後にやる。様々な年代の楽曲にバンドの歴史を感じる。これは、横浜アリーナ公演でも感じたことだった。そして怒涛のように繰り出された「MATSURI BAYASHI」「Summer Venus」「MONSTER DANCE」の三曲が持つ無敵感は凄い。これで盛り上がらない訳がない。パフォーマンスのどこを切り取っても“一貫して楽しいバンド”であると改めて感じた。
2018年は5枚目の新作ALとツアーも決定。とことんリリース間隔の狭いバンドである。しかし、その突き抜ける速度こそ、彼らの人気を増長してる由縁なのかも知れない。来年が楽しみである。
●SKY-HI
AAAでも培ってきただろうエンターテイナーぶりが冴えわたる完璧過ぎるステージに圧倒された!
隙が無かった!めちゃくちゃカッコ良い!ダンサーと演奏隊をバックに堂々と踊り歌いこなす姿は邦楽ラップ界の新しいカリスマであることを確信できるような気がした。大衆ラッパーは自己顕示欲を曝け出す傾向にあるが、彼は違う。2017年は共謀罪強行採決を批判した「キョウボウザイ」を発表するなど、彼は音に乗せて意見を世に放つ。そこに、ラッパーとしての信念を感じる。
「Double Down」や「ナナイロホリデー」などの大衆ポップ・ソングも非常に受け入れやすく、逆に日本トップクラスと言っても過言ではないだろうラップスキルを以て、我々を説得させたステージ。しかも、「今年嫌なことがあった奴らを励ますために歌って・・・・・・るわけじゃねえんだよ、嫌な現実をお前らが乗り越えた瞬間のために歌うんだ!」と、彼の視線がオーディエンスの高さであるMCで会場を沸かせる。ワンマンが観たいと感じるステージだった。
●KANA-BOON
聴き始めてビビッと来て、どハマリしてから飽和期が来て、少しの期間そのバンドから離れたりすることもある。個人的にはKANA-BOONがそれで、何年振りだろう?久々に観る。
MCで「今年は大変なこともあったけど」と鮪(Vo、G)は、飯田(B)の清水富美加との不倫の件にやんわりと触れたが、それ以上に、多くのライヴと新曲が出せたことが嬉しかったと感謝の意を述べた。ヴォーカルというバンドの顔の立場上、変に媚びずに、逃げもせず、その姿勢は気持ちのいいものだし、もはや何も責めようのない言葉である。
セトリは変わらずパワフルで「フルドライブ」から「Fighter」「盛者必衰の理、お断り」もやる。新曲「バトンロード」も、その中で聞き劣らないところが流石である。そして、アジカンの「君という花」のカヴァーまでやってこなす。自分達が何を求められているかを熟知している。彼らが、この世代のフェス・バンドの筆頭として君臨し続けているのが分かった気がした。
●WANIMA
大晦日は紅白にも出場する。前代未聞である。
ハイスタが偉大なのは紛れもない事実であるとしても、メロコアを大衆化させたのは彼らの最大の功績だと思っている。もちろん、先人たちの系譜を倣った正統派バンドが多くの聴衆を集め、一般化にまで押し上げたという側面もあろうが。
彼らが絶大な支持を得る理由は、屈託の無い笑顔にあると感じた。今更だが、他人への愛や感謝を歌ったポジティブ・ソング「THANX」「ともに」の聴き応えの良さったらない。「今年嫌なこと、悔しいことがあった人~」と挙手を促すと、それを全て受け止め、どっかに投げ捨てるような素振りを見せるKENTA。そして、KENTAは観客に向かって、こうも叫ぶ。「誰よりも皆が好きなバンド、WANIMAで~す!」と。聴衆第一主義である。変な話、三波春夫の「お客様は神様」発言に匹敵するサービス精神の旺盛さ。要するに、そういう部分に国民的メロコアバンド、大衆バンドになる覚悟を感じた。急速に、とてつもないバンドになったもので、どこまでいくのか楽しみなバンドである。
●sumika
バンドって、あまりに完全だと面白みがないと思うことがある。
このsumikaは、CDJ出場二回目にして二番目のキャパを誇るGARAXYステージのトリを務めるという驚異的な出世をした。もちろん、支持があってのことなのだろうが、新人の割には妙に小慣れているというか、まるでキャリア20年のようなベテランっぽさが印象的だった。年齢も相応にいってるに違いない(非公開らしい)そのくらい肝が据わってるし、高い演奏力も余裕すら感じる程だ。曲も「Answer」「Lovers」のような軽快なポップ・ソングから、「ふっかつのじゅもん」のような邦楽ロック好きなキッズが大好物な四つ打ちから「Summer Vacation」のようなシティ・ポップまで幅が広い。そういう多様な表情を見せるバンドというのも珍しく、面白い存在だなと思った。
(文・ROCKinNET.com編集部)
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