コロナ禍でライブの開催の是非が問われ続けている最中、go!go!vanillasは自身のキャリアでも最重要となるだろう初武道館公演を実現させた。公演中に牧(Vo)が何度もビートルズの話題に触れ、英国の若者四人が異国で伝説を作ったことに敬意を払い、その舞台に立てる一入な想いを熱いトーンで語ったことが印象的だった。座席は一つ空席で間隔を取っていた。それでも、それ以上に空席も目立った。それでも、バニラズはコロナ禍であることを一旦忘れさせてくれるかのようなフルスロットルなライブを見せてくれた。
武道館中央に設置された「g」が2つ合わさった舞台を縦横無尽に駆けずり回り、特攻も証明も遠慮が無い。初武道館の祝祭感と、プリティ(Ba)の復帰も相まってか、こういう時期にも諦めずに、この規模のロックライブを開催してくれた希望に満ちたロックライブ。出世作「オリエント」で幕を開け、今年リリースの「アメイジングレース」、そして「マジック」「デッドマンズチェイス」とライブでは定番の人気曲で畳み掛ける。
個人的に、この公演で最も印象的だったのが、メンバー間の絆が深まったのが見れたことだと思う。最近の世代は表面的には仲良しバンドが多い気がする。バニラズもその類いかと思っていた。けど、牧は涙ながらに、メンバーとの思い出を語り、特に、ジェット(Dr)とは掴み合いのシャツがビリビリになるほどの喧嘩を何度もし、一時はコイツ嫌いかもって思ってたらしいが、けど、俺の背中を誰よりも見てくれてと感謝する。アンコール時には牧が「わりぃ、俺から謝るよ」と、どうやら謝罪ぜずに、ここまで来ていたようで、ジェットもドラム台から降り、牧と熱い握手と抱擁をする姿に胸に来るものがあった。ここまで来るのに感情をぶつけ合い、ここまで来た、その不器用で一筋縄ではいかない感じが如何にもロックバンド的で、他のどのバンドの初武道館よりも純真で熱くて感動的だった。
ますますヴォーカリストとしての存在感も極まってきた進太郎(Gt)の「TTNow」を経て披露された、新曲「鏡」ではカントリーが基板にあった彼らには珍しいミクスチャーロックで、今後の楽曲の振幅が楽しみになる。そして、「カウンターアクション」「No.999」「エマ」「平成ペイン」「おはようカルチャー」とキラーチューン全開で圧倒的なロックショーを繰り広げて駆け抜ける。そして、デビュー曲「人間讃歌」で本編は幕を閉じた。感情をさらけ出し、予期せぬメンバー間の絆が深まった公演。初武道館には魔物がいると言うが、この夜はロックの女神が微笑んでいたように思えた。今後のバニラズから、ますます目が離せなくなったのである。
(文・ROCKinNET.com編集部)
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