2年前の大晦日のCOUNTDOWN JAPANでのストレイテナーのパフォーマンス中に、その前にMONOEYESが出演していたからか、細美武士が乱入し、急な共演が実現して歓喜したことを思い出す。その時に感じたのが、俺らのようなフェス創生期、21世紀のロックシーンの成長をドンピシャに体験してきた者にとってのロック・バンドって、テナーであり、細美武士なんだと。新進気鋭のバンドも多く出て、代謝の早い邦楽ロックシーンにおいても、「あ~、世代だな~」と。これが意味するのは、なんというかな、有無言わさない憧れって意味合いといえばニュアンスは正しいのだろうか。
その思いを物凄く大きな形で再現してくれたのが、今回の「NANA-IRO ELECTRIC TOUR 2019」なわけで、俺のようなドンピシャ世代にも若い世代もそうだと思うが、ロック・バンドのカッコ良さの普遍性みたいなものが感じられた。エルレ、アジカン、テナー、それぞれ決して歩みを止めない現役バンドマンではあるけど、同窓会的だったり、特別な祝祭感もない、ド直球な対バン形式だったことが何よりも潔くて気持ち良かった。バンドとは、こうあるべきという姿だったと思う。細美も「次はもっと小さいところでやろるな」ってボソッて言ってしまう格好良さ、流石である。
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フジロック以来のエルレは「Space Sonic」「Salamander」「ジターバグ」と相変わらずヒット曲を惜しみなく披露するし(「風の日」で大合唱して泣いて隣の若者にドン引きされたのは知らん。細美も歌えと煽るように、かつてのエルレのライヴは大合唱がお決まりだったが、最近は様変わりした)、テナーのホリエの美声に改めて聞き惚れ(細美の結婚式で披露したという「灯」に鳥肌が立ち、名曲「シーグラス」の切なさに胸が締め付けられたし)、アジカンは「君という花」「リライト」「Re:Re:」の王道の中に実験的な試みを入れたり、それぞれの「らしさ」が垣間見えた。
細美武士の急な結婚報告もあって、結婚おめでとう会になった感じもあった。石垣島で挙式を行い、ゴッチとホリエが駆け付けたそうだが、絶対に情報漏洩するなと言われていたため、綺麗な海辺をゴッチ、ホリエで歩いてるのをファンに見つかり、まるでお忍びデートのように捉えられたことを弁明も出来なかったと、テナーのホリエが冗談めかして会場の笑いを誘っていたが、MCや各パフォーマンス中のコラボを通じて、ゴッチもホリエも細美も、何十年間に渡って同じ時代に苦楽をともにし、しのぎを削って今の地位を確立させた3組だからこそ感じる「絆」がなんとなく嬉しかった。
それぞれの人が、それぞれの3組の思いを抱いているだろう。エルレが復活して2年が経ち、未だにエルレ初体験を求める若者は多いようだ。なんとなく、客寄せパンダに集まる見物人のようで居心地が悪いものの、それもアリなんだろうな(嫌だけど)。
大学時代にバンドをやっていた頃に、リアルタイムで聞いてきた、いわば先輩たちの音楽。自分の人生に非常に近しい場所にいたバンドが15年以上経った今もなお、こんなにキラキラしてて、格好良くて、30代後半になって腐ってる場合じゃねぇなと心から思わせてくれた先輩たちの勇姿に心打たれた。こうして、また再会できる喜びはひとしおで、こういう格好良い先輩を見てると(もちろん、年月にかまけて太ったりしちゃアレだけど)、自然体に年齢を重ねることが嫌で無くなる気がした。
(文・ROCKinNET.com編集部)
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