昨年、警官による黒人への不当な暴力に抗議したコリン・キャパニック選手が国歌斉唱の際に跪き、その後、試合に出演できず実質上干されている現状と主催側NFLへの不服として、キャパニック選手を支援したJAY-Zやリアーナが出演をキャンセル。結局はMaroon5が出演することになった。その後、同バンドへの批判が集中。全米首位を記録した「Girls Like You」で女性賛歌を示した彼らがこのような形で差別的な扱いを受けるのも何とも皮肉である。同曲で共演しているカディ・Bも出演を拒否している。
本当ならば、スーパーボウルという全米注目度トップの場での歌唱は、アーティストにとっては自身のキャリアの中で最もハイライトであるはずだが、とんだ逆風になってしまった。パフォーマンス後も批判の嵐はやむことなく、バンドは会見を中止。史上最低のハーフタイムショーとまで言われる始末に。
来年のハーフタイムショーの歌手選びが難航している模様。リアーナが拒否したからだ。原因は2016年にコリン・キャパニック選手がトランプ大統領と人種差別に抗うために国歌斉唱の際に起立しなかったことで批判に晒されていることへの抗議だという。 pic.twitter.com/s654xSqe5E
— ROCKinNET.com (@ROCKinNETcom) 2018年10月25日
ちなみに、トランプ大統領はキャパニック選手に対して人種差別から愛国心が無いと話をすり替え「あんな奴は即刻クビだ、この国からも追放だ」と発言。その後、キャパニック選手はNIKEの「JUST DO IT」30周年キャンペーンに出演し、若者から絶大な支持を得て、NIKEは売り上げを伸ばしていることから大衆の支持がどちらに偏っているかは明白である。
この騒動に関してアダム(Vo)は「振り返ってみれば、これまでどのハーフタイムショーも、何かしらの反発があったように思う。少しくらいの論争に耐えられなかったら、この仕事をするべきではないと思う。そういうものだと思うし、反発は想定内だ。でもそこから前進したいんだ。(今回のハーフタイムショーも)こんなに興奮したことがない。最大のギグだ。」としながら、反発に対しては「すべて音楽を通して答えたい」と言っている。
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事実、こういう報道は端に追いやられてしまうのが気の毒なのだが、Maroon5はNFLと共に今回の出演に当たって青年らの手による青少年を対象としたボランティア運動団体「Big Brothers and Big Sisters of America」に50万ドルもの高額寄付している。バンドの意思が人種差別擁護でもないし、キャパニック選手不支持でもないことはハッキリしていよう。それどころか、今回の出演が、あまりに政治利用されてしまっていることが気の毒で仕方ない。ロック・バンドとしてハーフタイムという大きな夢に向けて、巡ってきたチャンスを実現させただけのことである。ヒット曲の多いバンドだ。パフォーマンスも十分過ぎる程にパワフルで何も例年よりも劣ることはなかった。執拗な攻撃が続くことや、エンターテイメント自体を偏向的な政治的観点で攻撃することには関心はしない。2月下旬の来日公演が楽しみで仕方ない。
(文・ROCKinNET.com編集部)
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