昨年に引き続き来日を果たし、日本中に旋風を巻き起こしてるポール・マッカートニー。いや、まさか、こんなハイペースで来日が実現するとは夢にも思っていなかった。2013年に約11年ぶりの来日の際は大々的に報道されたし、「もしかしたら、これが最後の来日かも」なんて言われてからの、この5年間で既に3回も来日しており、今回で4回目になる。もちろん、世代じゃないから遅咲きではあるものの、ポールフリークとしては、5年前から全公演行っちゃってる訳だけれども、今回は新作『エジプト・ステーション』を引っ提げての世界ツアーということで、その制作意欲と、ツアーを欠かさないサービス精神に脱帽する。
ぶっちゃけ俺はビートルズ世代ではない。けど、音楽好きを公言してる者としてビートルズを生で見ないことは罪だと断言したいくらい、やはり偉大な存在なんだなと毎回ポールの公演を観るたびに思っている。
2013年にリリースされた前作『NEW』は、アデルのプロデューサーであるポール・エプワースや、ブルーノ・マーズをフューチャーした「Uptown Funk」が世界的大ヒットとなったマーク・ロンソンを迎えて、新しいポール像を確立することに成功した傑作だった。俺のような世代じゃない者にとっても、すんなりと受け入れ易い正に2010年最先端のロックだった。
それとは逆行して、今回の『エジプト・ステーション』は従来のポール節を復活させたような、全盛期のウィングスの作品のような自由奔放な印象だ。ポール特有の悲哀感漂う旋律から始まる美しいバラード曲「I Don’t Know」や、とにかく陽気でポップなリフで心が鷲掴みされる「Come On to Me」など名曲揃い。《繰り返し警告されたのに船長は耳を貸そうとしない/船長は狂っている/何とかしないと俺たちは道連れにされてしまう》と、トランプ大統領を批判しているとされる「Despite Repeated Warning」など話題の曲も。原点回帰にして、今年76歳になるポールが2010年代まだまだ現役である証明を果たした傑作である。同作で36年ぶりに米ビルボードで1位を獲得したという。
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そんなポールがよく見る夢があるという。
夢なんて気にする方が野暮だと思う性質なんだけど、俺も実は長年SMAPに加入する夢を見てきた。なんの稽古もせずに東京ドームに出なければならなくて焦る夢。SMAP解散してから見なくなったけど(笑)んなことはどうでもいいか。
ステージ、もしくはスタジオで失敗する夢。とにかく何かがうまく行かなくなる。演奏が最悪で、客がどんどん帰っちゃうとか。それはよく見る夢だね。でもいいんだ。おかげでジョンとジョージに会えるから、ある意味、いい夢なんだ。
よく学者が論文発表で失敗する夢を見るとか、スポーツ選手が大会でミスをする夢を見るとか聞いたことがある。これら嫌な類の夢に思われがちだが、実は吉夢で、プレッシャーの表れ、それだけ真剣に物事に対峙してると捉えるべきで悲観的になる必要はないという。逆に警告を受けたからこそ慎重に選択する余地を与えられたと考えるべきと。
ポールの場合は失敗に加えて、ライヴという限定的な条件が付く、この夢の正体は、もっと自分にかまってほしい「かまってちゃん願望」の表れなんだとか。さらに、もっと評価されたい、もっと注目されたいという欲望の表れでもあるという。この貪欲さがあってこそのポール・マッカートニーなんだなと、何年も現役を貫く姿を見て妙に納得してしまう。それと、「ジョンとジョージに会える」とポジティブに結論付けるところが如何にも楽天家のポールらしさが垣間見れて、なんとなく微笑ましい。
(文・ROCKinNET.com編集部)
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